
「うまくやってくれ」
インスペクションの現場で、時折耳にする言葉です。
しかし、この一言の意味は、人によって大きく異なります。
👉 見逃してほしいのか
👉 角を立てないでほしいのか
👉 ただ円滑に進めてほしいのか
現場では、その真意を読み違えると、大きな誤解につながります。
私が担当したインスペクションの話です。
中古、売主居住中、築年数も古い。
正直なところ、ある程度の劣化は覚悟して現地に向かいました。
ところが、実際にお会いした売主の方は非常に気さくで、
「よく見ていってください」
と、むしろ調査に協力的でした。
私は普段どおり、建物の外部から確認を始めます。
外観上、大きな不具合は見当たりません。
その後、室内の確認へ。
ちょうど昼をまたぐ時間帯でした。
すると売主の方が、
「一息入れたらどうですか」
と声をかけてくださり、
出てきたのは、出前の寿司とビールでした。
これは正直、困りました。
インスペクションの立場上、
利害関係者からの接待は受けるべきではありません。
何度か辞退しましたが、
「せっかくだから」と強く勧められ、
結果として、寿司だけはいただいてしまいました。
ビールは断りました。
気を取り直して、室内の確認を続けます。
売主の方も協力的で、
家具を動かしていただき、コーナーでの傾斜測定も実施できました。
結果として、
👉 大きな不具合はなし
👉 傾斜も問題なし
という判断になりました。
ここははっきりさせておきたいのですが、
👉 寿司をいただいたから問題なしと判断したわけではありません
あくまで、
👉 建物に大きな問題が見られなかった
それがすべてです。
この経験は、今でも印象に残っています。
・断りきれなかった自分
・結果として問題がなかったこと
どちらをどう評価すべきか、簡単には答えが出ません。
ただ一つ言えるのは、
👉 インスペクションにおいて、判断が揺らいではならない
ということです。
この言葉は、必ずしも
「見逃してほしい」という意味ではありません。
多くの場合は、
👉 「気持ちよく進めてほしい」
という程度のものです。
しかし、受け取る側が一歩間違えれば、
👉 忖度に変わる可能性がある
インスペクションは、
👉 人との関係の中で行われる仕事
であると同時に、
👉 事実をそのまま伝える仕事
でもあります。
だからこそ、
👉 距離感
👉 姿勢
👉 判断基準
この三つを、常に意識する必要があります。