気が付けば、今回で300記事目となりました。
不動産、金融、建築、人口問題、インフレ、金利、空き家、都市構造――。これまで様々なテーマを書いてきましたが、振り返ると、すべては「日本という国をどう見るか」という問いにつながっていたように思います。
高度経済成長期、日本は「世界第二位の経済大国」と呼ばれました。土地神話が存在し、「東京の地価でアメリカが買える」とまで言われた時代もありました。
しかしバブル崩壊以降、日本は長い停滞期へ入りました。
低成長、デフレ、少子高齢化、人口減少――。
かつて世界が日本を研究していた時代から、今では日本自身が「これからどう生き残るか」を模索する時代へ変わりました。
現在の世界は、大きな転換点にあります。
アメリカは金融覇権を維持しながらも、インフレと分断を抱えています。中国は急速な経済成長を遂げた一方で、不動産バブル崩壊や人口減少という新たな課題に直面しています。
ヨーロッパではエネルギー問題や移民問題が揺らぎを生み、中東や新興国も含め、世界全体が「安定」を失いつつあります。
その中で日本は、非常に特殊な国です。
巨額の政府債務
超高齢化社会
長期金融緩和
人口減少
世界最大級の中央銀行介入
これほど複雑な条件を抱えながら、社会秩序が比較的維持されている国は多くありません。
ある意味、日本は「世界最先端の課題先進国」なのかもしれません。
私は長年、不動産実務に携わってきました。
その中で強く感じるのは、不動産は単なる「建物」ではなく、その国の経済、金融、人口動態、政策、価値観を映し出す鏡だということです。
東京ではタワーマンション価格が高騰する一方、地方では空き家が増え続けています。
同じ日本でも、
人が集まる場所
人が去る場所
の差が極端になっています。
さらに現在は、金利・インフレ・建築費高騰が重なり、「持ち家」という概念そのものも変わり始めています。
かつては、
「家を買えば安心」
という時代でした。
しかし今は、
金利上昇リスク
通貨価値
実質所得
修繕コスト
出口戦略
まで考えなければ、本当の意味での資産防衛はできない時代です。
戦後の日本は、「日本型資本主義」と呼ばれる独特の経済システムを築いてきました。
終身雇用、年功序列、護送船団方式、土地神話――。
それらは高度成長を支えた一方、現在では人口減少社会との間で歪みも生んでいます。
そして今、日本は再び大きな転換点にあります。
インフレが戻り、金利が動き始め、金融政策の正常化が意識される中で、日本社会そのものが「デフレ時代の常識」から抜け出そうとしているようにも見えます。
これからの日本に必要なのは、単なる悲観論でも楽観論でもなく、「現実を直視する視点」だと思います。
人口減少は避けられません。
地方衰退も進むでしょう。
しかし一方で、日本には、
高い治安
インフラ
技術力
文化
都市機能
社会秩序
があります。
世界的に見ると、それ自体が非常に大きな価値です。
今後、日本が本当に問われるのは、
「人口が減る中で、どう豊かさを維持するか」
というテーマなのかもしれません。
300記事という数字は、一つの通過点に過ぎません。
ただ、ここまで書き続ける中で確信したことがあります。
それは、不動産も金融も、結局は「人の生き方」と深く結びついているということです。
どこに住み、どう働き、何を守り、何を次世代へ残すのか。
これからも、不動産という視点を通して、日本社会の変化を考えていきたいと思います。
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。
そしてこれからも、どうぞよろしくお願いいたします。