
借りられることと、持ち続けられることは違う。
住宅ローン相談で、私は時に思う。
物件価格の議論は多い。
金利の議論も多い。
だが、
返済耐性の議論は、意外と少ない。
ここに違和感がある。
私は、住宅ローンは「借りられるか」で組むものではなく、
守り切れるか
で組むものだと思っている。
その意味で、年収が高くない層ほど、住宅ローンには慎重であるべきだと考える。
これは差別でも断定でもない。
防御思想である。
私はそう受け取ってほしい。
なぜ慎重か。
理由は単純だ。
所得が低いほど、
予期せぬ変化に対する余力が薄くなりやすいからだ。
生活費上昇。
教育費。
病気。
離職。
金利変動。
人生には揺れがある。
その揺れに耐えるバッファが重要になる。
ここだ。
私は時に、住宅ローン相談で
「月々家賃並みだから大丈夫です」
という言葉に危うさを感じる。
家賃並み。
よく聞く。
だが、これは説明として弱い。
なぜなら、住宅ローンには
固定資産税もある。
修繕もある。
予備費も要る。
所有コストがある。
家賃とは違う。
ここを混同すると危うい。
私はそう思う。
また、低年収帯ほど、融資可能額いっぱいまで借りる誘惑が強くなりやすい。
少し背伸びしたくなる。
分かる。
だがここに危険がある。
借入余力と生活余力は違う。
ここを分けたい。
私は常々思う。
住宅ローンは、
返済比率だけでは測れない。
生活防衛余力まで含めて見るべきだ。
それが本来だ。
また、ここで私は頭金の重要性も強く感じる。
自己資金が薄い状態で、
高いLTVで買う。
これは防御力が低い。
価格下落局面ではなおさらだ。
だから私は、
無理して急がなくてもよい、
と思うことがある。
親に借りられるなら借りてもよい。
頭金を厚くしてもよい。
購入を遅らせてもよい。
無理に買わなくてよい。
この発想はもっとあってよい。
私はそう思う。
「今買わないと損」
という営業言説には、時に注意が必要だ。
住まいは焦って買うものではない。
防御設計して買うものだ。
ここは重要。
また私は、年収だけではなく、
その安定性も見るべきだと思う。
同じ400万円でも違う。
公的基盤があるか。
変動が大きいか。
ここで意味は変わる。
単純な数字だけではない。
だから私は「400万円未満は絶対だめ」とは言わない。
そうではない。
ただ、
慎重であるべきだ
とは思う。
ここは言いたい。
なぜなら住宅ローンは、余裕の薄いところほど、失敗コストが重いからだ。
これは現実だ。
そして、前編までの話ともつながる。
抵当権は重い。
債務超過は重い。
だから入口で無理をしない。
これは一貫している。
私は購入者に伝えたい。
銀行が貸すかではなく、
10年後も守れているかで考えてほしい。
そこが大事だ。
そしてこの編で言いたいことは、一つ。
住宅ローンは、背伸びして組むものではない。
暮らしを守れる範囲で組むものだ。
私はそう考えている。