不動産の資産価値を語るとき、
「都心か、郊外か」という二項対立で語られることが多くあります。
しかし実際には、
その構図だけでは説明できない現実が広がっています。
東京都心でも、約90万戸の空き家が存在し、
およそ10軒に1軒が空き家という状況です(2026年時点)。
「都心だから安心」という前提は、
すでに揺らぎ始めています。
背景にはいくつかの構造的な問題があります。
老朽化した建物や、利用価値の低い物件は、
都心であっても放置されるケースが増えています。
相続人が遠方に住んでいる場合、
管理が行き届かず、そのまま空き家化することも少なくありません。
建物を解体して更地にすると、
固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
そのため、
「壊せない空き家」が生まれ続けています。
相続によって複数の名義人が関与すると、
売却や活用の意思決定が難しくなります。
結果として、
活用されないまま放置される不動産が増えていきます。
区分所有のマンションでも同様です。
所有者の高齢化や相続により、
賃貸にも売却にも回らない住戸が増えています。
管理されない不動産は、
単なる「使われていない家」ではありません。
・防災リスク
・景観悪化
・地域価値の低下
これらを引き起こす可能性があります。
管理不全の空き家は、
「特定空き家」に指定される可能性があります。
この場合、
固定資産税の優遇が解除されるほか、
最悪の場合は、
行政代執行による解体と費用請求が行われます。
これまで都心不動産は、
「立地がすべて」と言われてきました。
しかし現在は、
・建物の状態
・管理状況
・権利関係
これらが揃わなければ、
都心でも簡単には売れない時代に入っています。
資産価値は、単に「場所」だけで決まるものではありません。
・流動性(売れるかどうか)
・管理可能性
・将来の活用余地
・所有リスク
これらの総合評価です。
資産価値の問題は、
「都心VS郊外」という単純な対立では語れません。
むしろ、
「管理できる資産かどうか」
これが、これからの不動産価値を左右する
重要な視点になると感じています。