
積立金が安いマンションほど、慎重に見たい。
マンションを買うとは、建物を買うことではない。
時間を買うことでもある。
私はそう思っている。
なぜなら、マンションは新築時よりも、むしろ時間が経ってから本質が問われる商品だからだ。
その本質が最も表れるのが、
大規模修繕である。
これは、マンションの真骨頂でもあり、難所でもある。
外壁。
防水。
給排水。
設備更新。
建物は必ず老いる。
RCだからといって、永遠ではない。
ここを誤解してはいけない。
私は時折感じる。
「鉄筋コンクリートは強いから安心」
この言葉には、どこか幻想がある。
強いことと、維持できることは違う。
維持には金が要る。
そして合意が要る。
ここが戸建てと違う。
戸建ては、自分で決めて修繕できる。
屋根を直す。
外壁を塗る。
設備を替える。
自由だ。
マンションはそうはいかない。
共同体の意思決定になる。
ここに制度の難しさがある。
そして、その制度を支えるのが修繕積立金。
私はここを非常に重く見る。
積立金が安い。
一見、魅力に見える。
だが私は、むしろ警戒する。
安さは、美徳ではないことがある。
将来の不足かもしれない。
値上げリスクかもしれない。
修繕先送りかもしれない。
これは現実。
怖いのは、買う時には見えにくいことだ。
新築時は皆、美しい。
だが建物の評価は、10年後、20年後に出る。
そこで修繕力が問われる。
私はここに、マンションの本質を見る。
建物性能ではなく、維持する力。
これが重要。
さらに、建替え問題もある。
ここは重い。
日本では区分所有マンションの建替えは、実務上きわめて難しい。
合意形成。
費用負担。
高齢化。
現実は厳しい。
つまりマンションは、ある意味「修繕で延命する資産」ともいえる。
ここを理解せずに買うのは危うい。
私は購入者に、長期修繕計画書を見てほしいと思う。
地味だが重要。
いや、地味だから重要。
派手なモデルルームより、こちらを見るべきだ。
不動産の本質は、往々にして地味な場所に宿る。
私は戸建て派だ。
理由の一つはここにある。
修繕を自分で決められる自由。
これは大きい。
だがマンションには、共同で資産を守る思想がある。
それはそれで価値がある。
ただし、条件がある。
積み立てが健全であること。
管理が機能していること。
住民に維持意識があること。
この三つが揃って初めて成立する。
私は言いたい。
マンションを見る時は、眺望より修繕を見る。
価格より積立金を見る。
新築だから安心、ではない。
良いマンションとは、修繕できるマンションである。
これは派手ではない。
だが、本質だ。
住まいとは買うものではなく、維持していくものでもある。
その現実を見据えてこそ、住宅購入は戦略になる。